活動報告
学術関係: 学術講演会・研修会事業
本会主催学術講演会
これまでの講演会
- 日時
- 令和元年10月16日(水)19:30~
- 場所
- 武蔵野市歯科医師会館 会議室
- 講師
- 小宮山彌太郎先生
(オッセオ・インテグレーション・センター院長) - 演題
- 『長期にわたり患者に感謝されるインプラントを目指す』
- 抄録
- 『Osseointegrationの獲得と長年月にわたるその持続のためには、優れたハードウェアだけではなく、適切なソフトウェアが求められる。Minimal tissue violation(組織に対する最小限の侵襲)は、ソフトウェアのうちでも最も重要な因子といえる。』これは1982年、故Brånemark教授がインプラント療法に関して知識も技術が乏しかった演者に対して諭してくださった言葉として、今でも心の中で大きな場所を占めている。ハードウェアは業者から購入するもので、歯科医師はそれを信頼性が高いものとの認識の下に選択している。開発者ならびにそれに携わった技術者の理念が生かされている方法が選択の一基準になると思われるが、営業サイドの意見によりその理念が希薄化されている場合があることを疑うべきかもしれない。本来、インプラント療法は長期間にわたり患者の要求を満たせるものと考えられてきたが、学術的な背景よりも顧客獲得を優先に、目先の結果と簡便さとを強調する傾向に危惧を抱いている。数多くのシステムがハードウェアとして市場にあふれており、その選択は歯科医師に委ねられているが、安価あるいは簡便との観点からシステムを選ぶ術者も存在している。しかしながら、工業製品すなわち人造物の多くが、力により問題を起こすことを忘れてはならない。患者に長期間にわたる安全な状況を提供することを目指すならば、累積される咬合力に耐え得る形態に加えて、問題発生時にインプラント本体を守る機構を備えているかを考慮してシステムを選択したい。
歯科医療従事者の知識、技術ならびに取り組む姿勢は、ソフトウェアに大きな影響を与える。『インプラント埋入術は、外科手術ですよね。なのに衛生観念に乏しい手術風景がHPなどに掲載されています。』との、ある医師の言葉に恥ずかしさを覚えた。また、オッセオインテグレーションを示すインプラントは、歯根膜を備えた天然歯と比較して被圧変位量が小さいことから、上部構造の適合性ならびに咬合をはじめとする力に対しては細心の注意が要求され、従前の一般的な歯科治療の延長線上にあるものではないと認識することで、長期間にわたり患者のQOLの維持に貢献できる。いずれにしても、安易な方向への流れを進化と取り違えることは避けたい。
令和元年度 学術講演会
- 日時
- 平成30年10月17日(水)19:30~
- 場所
- 武蔵野市歯科医師会館 会議室
- 講師
- 小林馨先生
(鶴見大学歯学部口腔顎顔面放射線画像診断学教授) - 演題
- 歯科CT撮影と読影の勘所
- 抄録
- 歯科用コーンビームCT(CBCT)の累計販売台数は19000台を超えたそうです。今やCBCTは、パノラマX線撮影が普及した当時よりも早く普及していっているようです。その理由は慢性歯周炎、慢性根尖性歯周炎、埋伏歯、顎関節症、骨隨炎、腫瘍など顎骨内の病変であれば、これまで得られなかった画像情報がもたらせるためです。私も日常臨床において口内法X線像やパノラマX線増でこれほど見えていなかったのか愕然とすることがあります。そこでこのような臨床像を先生方に出来るだけ見て頂こうと思います。それと同時にどのようなことに注意していければ良いCBCT像が得られ、患者の被曝線量を低くできるのかについてもご説明したいと思います。既にCBCTを使っている方、導入を考えている方の忌憚のないご意見もお聞きしたいと思います。
平成30年度 学術講演会